轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あかいステッキ
赤いステッキ
壺井 栄
「中央公論」1940(昭和15)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,482 字 · 23 页
克子は近所じゅうひびきわたる大声で泣きわめいた。いつものように背戸の姉ちゃんに救いを求め、隣りのばあやんの名を叫びながらも、けっして詫び言葉はいわなかった。だがその日は天気がよく、近所の人たちはみな畑へ麦のあい打ちにでも行ったらしく、克子の声だけが、しんかんとした静けさを破って山の方までひびいた。お母さんの気持もたけりたち、いくら克子がふびんな子とはいえ、必要以上の甘やかしはできないのだと思い、今日こそはいつものようなおどかしでなく、一度納屋へしめこんでこらしてやらねばとやっきになった。だが、けんめいに抵抗する克子は健よりもはるかに力があり、納屋へしめこまれまいと身をそらして、どうしても下へ足をつけない。むりやり下に置こうとすればうしろ向けのまま、しがみついた手にますます力を入れて離さない。たがいにもみ合っているうちに、お母さんの方でくたびれてしまい、とうとう折れてでた。
「そんなら今日はこらえてやるせに、もう泣かんと。――こんどから一人でえいべべ出したりせんな」
泣きながらうなずく克子の涙によごれた顔を、エプロンでふいてやりながら、お母さんはもう一度念を押した。