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あかいひめとくろいおうじ
赤い姫と黒い皇子
小川 未明
「童話」1922(大正11)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,237 字 · 9 页
やがて、そのものは、立ち帰りました。お待ちになっていたお姫さまは、どんなようすであったかと、すぐにおたずねになりました。
「それは、りこうな、りっぱな皇子であらせられます。御殿は金銀で飾られていますし、都は広く、にぎやかで、きれいでございます。」と、家来は答えました。
お姫さまは、うれしく思われました。しかし、なかなか注意深いお方でありましたから、ただ一人の家来のいったことだけでは、安心をいたされませんでした。ほかに、もう一人、家来をやって、よくようすを探らせようとお考えになったのです。
「こんどは、ひとつ姿をかえてやろう。それでないと、ほんとうのことはわからないかもしれぬ。」と思われましたので、お姫さまは、家来を乞食に仕立てて、おつかわしになりました。
いろいろの乞食が、東西、南北、その国の都をいつも往来していますので、その国の人も、これには気づきませんでした。
乞食に姿をかえたお姫さまの使いのものは、いろいろなうわさを聞くことを得ました。そして、そのものは、急いで帰りました。
お姫さまは、待っておられたので、そのものが帰るとすぐに自分の前にお召しなされて、聞いたことや見たことを、すっかり話すようにといわれました。