轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あかいかしゃ

赤い貨車

宮本 百合子

「改造」1928(昭和3)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,168 字 · 71 页

青空文庫

月給はいくら」

「十三ルーブリ」

ナースチャは正直に金額を答えてから、心配になって女の顔をじっと見た。女はしかしあたり前な顔で、机の引出しから二枚、大きい紙を出した。

「さ、これを持って帰ってすっかり書きこんでもらっといで」

ナースチャは、きき間違え、また赤くなった。

「わたし、書けません」

「お前さんは主人じゃないだろう」

タバコの煙をふっと口のすみからふきながら、陽気に云って、笑った。

「ごらん、すっかりこの項目に、主人の名、職業、お前さんの名、パスポルトの番号、月給、働く条件、休日まで書きこんでもらって、それから組合に入るんだ、わかったろう?」

「ありがとう」

「主人が書いてくれたら、住宅管理人に裏書きしてもらって、またここへおいで」

ナースチャが、紙を手にもって立ちかけた時、女がきいた。

「クラブへ行ったのかい、お前さん」

「いいえ」

「誰にこのメストコムをきいた?」

「リザ・セミョンノヴナが教えました」

椅子の背にタバコを持った手を廻してかけ、女は立っているナースチャを見上げた。

「誰だい……それは」

「家にいるお嬢さんです」

「ふむ……よしよし」

「さよなら」

女はうなずいて、こむらで椅子を押しながら自分の場所から立ち上った。