轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
08 氷の下の芽
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,146 字 · 40 页
長崎へゆくまえに逢ったときの、色濃い嬌しさや、眩しいほど華やかな美貌は、殆んどあとをとどめない。眉をおとし、歯を染めているためもあろうが、男との世間を忍ぶ生活や、子を産んだことが、そのように彼女を変えた事に相違ない。極めて平凡な、どこにでもみかける世話女房、といったその姿を眺めていると、登は重い荷をおろしでもしたようにほっとし、はっきりした意味もなく「よかった」これでよかった、と心の中で云った。
「ちぐささんですね」と登は静かな声で呼びかけた、「お子さんができたと聞きましたが、お達者ですか」
「はい」とちぐさが喉声で低く答えた、「このあいだ無事に麻疹を済ませました」
「そうですか」と登は云った、「おめにはかかりませんが、御主人によろしく仰しゃって下さい」
「それでいい」と天野源伯がちぐさに云った、「もうさがっておいで」
ちぐさは辞儀をして去った。
「よく堪忍してくれた、登どの」と云って、源伯は登に目礼をした、「ばかな親だと思うだろうが、どうしてもこなたの許しが得たかった、これで私もあれに出入りさせられるし、孫を抱くこともできる、かたじけない」
登は会釈を返してまさをを見た。