轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
08 氷の下の芽
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,146 字 · 40 页
六
ばかになれば身を売られずに済む。十歳という年で、おえいはそう心にきめた。そうして或る日、土蔵で荷入れの手伝いをしているとき、梯子段から落ちて頭と背中を打った。わざとではない、本当に梯子段を踏み外したので、暫くは気を失っていた。
六
「気がついて、水を飲まされながら、あたしこのときだなと思いました」とおえいは云った、「頭が割れるほど痛んでいたし、二三日は背中も曲げられませんでしたが、それといっしょに、ばかになったようなふりをし始めたんです」
松さんという白痴を見ているから、そのまねをすればよかった。ひっかかったのはまず医者で、原因は頭を打ったためであり、暫くすれば治るだろう、と診断した。おえいは治るようにみせたり、もっとひどくばかになったようにふるまったりした。「近六」の主人は特にいい人でもなく、また悪い人でもなかったので、おえいがそんなになった責任を感じる一方、役に立たなくなったので、佐太郎夫婦の前借を拒み始めた。
――店の仕事でこんなことになったのだから、おえいの面倒はみてもいいが、給銀のほうはもうこれ以上は出せない。
それで不服なら貸した分は棒引きにするから、伴れてゆくがいいと主人は云った。