轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
01 狂女の話
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,384 字 · 41 页
見ているだけでも、ここの生活はうす汚なく、活気がなく、そして退屈だった。俗に施薬院といわれるこの養生所の支配は「肝煎」といい、小川氏の世襲であって、幕府から与力が付けられていた。小川氏はべつに屋敷があるが、表の建物にその詰所があり、そこで与力と共に会計その他の事務をとっていた。そのころ、番医の定員は五人で、これらの詰所は病棟のほうに属し、表の建物とは渡り廊下でつながっていた。
番医のうち、新出去定が医長、その下に吉岡意哲、井田五庵、井田玄丹、橋本玄録らがおり、本道、外科、婦人科を分担していた。井田は父と子で、下谷御徒町で町医をやっているし、ほかに嘱託で通勤する町医が三人から五人くらいあった。――見習医は二人、これと新出医長だけが定詰で、入所している患者の治療は、殆んどこの三人に任されたようなかたちだったし、かよって来る患者に対しても、他の医員たちは熱意がなく、治療のやりかたも形式的な、投げやりなものが多いようであった。
病棟は北と南の二た棟あり、病室は各棟に十帖が三、八帖が二、重症用の六帖が二た部屋ずつ付いていた。そのとき入所していた患者は三十余人、老人や女が多く、外傷で担ぎこまれたり、行倒れで収容された者などもいた。