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あしのないおとことくびのないおとこ
足のない男と首のない男
「早稲田文学 第一三巻第七号」1946(昭和21)年10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,095 字 · 8 页
小さい男であんまり落付なくハシャイでゐるから国民学校の子供かなと思ふけれども、やつぱり大人で、第一声がジャングルの声だ。ボルネオの子供かなと人が思つたりするので、近頃郡山が鼻ヒゲを生やしたのはそのせゐなのである。
彼は熱療法の病院を退職すると、その次には浅草の安来節の座付作者になつて、まつたくどうも、かういふところにも脚本家などの必要があつたのかネ、私は知らなかつた。威勢のいゝ姐さんのために大いに情熱を傾けて脚本を書いてやつてゐた。
そのうちに戦争が白熱してきて安来節もダメになると、経済何とか研究所、名前はすごいが社長と郡山と二人しかゐないところで、これはつまり闇屋の品物をしかるべく取ついでやる機関なのである。
この先生はつまりまともな仕事が出来ない本性なので、病院へ務めるにも松沢病院などゝいふ当り前のところは気が向かない。座付作者になるにもインチキ・レビュウとくるとまだ少しまともすぎて、安来節とこないと、どうしてもをさまることが出来ない。闇屋なども当り前の商売だあらダメなので、闇屋の上前をはねる経済研究所とこないと務めることができないといふ因果な先生なのである。