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ぐんようそ

軍用鼠

海野 十三

「新青年」博文館、1937(昭和12)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,659 字 · 37 页

青空文庫

図鑑を引いてということにして「寸」の字だけで、数字は消して置こう。

しかし、そこで妖婆を殺してしまったのでは、小説として一向面白くない。もっと妖婆の妖術を生かさなければ損である。

では、こうしてはどうであろうか。主人公梅田十八はお城へ探検になど来なかったことにする。

彼は原稿の債務なんかすっかり片づけてしまって、のうのうとした身体になっている。そこへ彼が口説いてみようかと思っている近所の娘さんが臙脂色のワンピースを着て遊びにやってくる。

そこで梅田十八は、ルリ子――娘さんの名である――を伴って散歩に出かける。二人は歩き疲れて、月明るき古城を背にしてベンチに並んで腰を下ろす。そしてピッタリと寄りそい甘い恋を囁きかわすのだった。

ところが城の中にいた妖婆アダムウイッチが遥かにこれを見て、大いに嫉妬する。そしてたまりかねて、自暴酒を呑む。あまりに酒をガブガブ呑んだので、蒟蒻のように酔払って、とうとう床の上に大の字になって睡ってしまう。

お城の下では、十八とルリ子が、あたり憚らずまだピッタリと抱き合って恋を語っている。月が西の空に落ちたのも知らない。そのうちに東の空が白み、夜はほのぼのと明けはじめ(ああ夜が明けはじめるなんて、くだらないことを思いついてしまったものだ。