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じてん
辞典
戸坂 潤
「経済学大辞典 第四巻」岩波書店、1931(昭和6)年10月、「経済学大辞典 第五巻」岩波書店、1932(昭和7)年1月、「経済学大辞典 追補」岩波書店、1936(昭和11)年10月、「教育学辞典 第一巻」岩波書店、1936(昭和11)年5月、「教育学辞典 第二巻」岩波書店、1937(昭和12)年2月、「現代哲学辞典」日本評論社、1936(昭和11)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,131 字 · 186 页
それが機械論的唯物論の形を取らねばならなかった所以である。
ホッブズを以て代表者とする十七世紀のイングランドの唯物論は、やがて大陸に移って、十八世紀のフランス唯物論となる。茲では唯物論が生理学的根拠によって支えられる。ラ・メトリー(J. O. La Mettrie)やエルヴェシウス等が之を代表する。精神作用は感覚を以て始まるが、この感覚は全く物質的機能に外ならない。感覚は脳中に分泌作用を引きおこし、この分泌作用がとりも直さず意識なのであると考える。この云わば生理学的唯物論は十九世紀のドイツに這入って最も徹底した形を取った。之を代表するものはフォークト(K. Vogt)である。彼に従えば精神は全然脳髄なる物質の所産である。恰も肝臓から胆汁が分泌され、腎臓から尿が分泌されるように、脳髄から分泌されるものが精神作用に外ならないと云うのである。モレスコット(J. Moleschott―オランダ人)も亦この派の代表者の一人であるが、モレスコットは更にこの唯物論に化学的根拠を提供して、意識は脳皮質に含まれる燐に依るものだと説明した。この生理学的乃至化学的唯物論は併し結局力学的唯物論に帰着する外はない。