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たいほしゅぎしゃ
退歩主義者
「月刊読売 夏期臨時増刊号」1949(昭和24)年7月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,703 字 · 20 页
彼はうまいことに気がついた。品川一平のアパートへ行く。監理人からカギをかりる。昨日まで同居していた仲であるし、ここまでオフレがまわっている筈はないから、疑われる心配はない。うまうまと成功した。
「エッヘッヘ。とにかく、あいつは甘いよ。みんな目クジラ立てている最中に、あいつだけゲラ/\笑っていやがったからな」
馬吉は米を探しだして、まずメシをたいた。一平の炊事は馬吉がしていたのだから、なれたものである。馬吉がいなければ外で食事をするだろうから、ノンダクレの一平が早く帰ってくる筈はない。馬吉はゆっくりメシをくい、あと一二杯で充分に満腹するところであった。
まの悪い時には仕方がない。一平が帰って来たのである。元々彼は役者と違って、二六時中小屋につめている必要がないのである。馬吉はヤヤと驚き、慌てゝ、オハチを両手でだいた。もうちょッと食べるゴハンが残っていたからである。
「ちょッと待った。ちょッと、待った。相済まん。待ってくれなきゃ、いけないよ。五分早く怒ったって、結局おんなじことだからな」
彼は急いでメシを茶碗へギュー/\押してつめこんだ。そこへ箸を突っ立てゝオシンコの皿を片手に部屋の片隅へ待避した。