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たいほしゅぎしゃ
退歩主義者
「月刊読売 夏期臨時増刊号」1949(昭和24)年7月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,703 字 · 20 页
「五分おそく怒ったって、おんなじ理屈じゃないか。辛抱しなよ。食慾ッてものは仕方がないよ。戦地じゃ戦友の屍体の肉まで食いやがったっていうじゃないか。オレだって、こんなことはしたくないけど、ほかに当てがないからさ。オレの身になってくれなきゃ、いけない」
馬吉はチラチラと一平を見ながら、必死の速力で、かッこんだ。
「いけねえな。そこに睨んでいられると、むせちゃうよ。目を白黒ッていうのは、本人の身になると、とても辛いものだからね。どうも、いけねえ。つかえちゃったよ。もう五分のばしておくれよ。水だって飲まなきゃいけない。このオシンコはオレがつけたオシンコだけど、ちょッと、まずいね。睨まれてるから、気のせいかも知れねえや」
馬吉はようやくメシを食い終って、ヤカンの水を茶碗についでガブ/\のんだ。
一平は張合いがぬけて、怒る気持も薄れていたが、そこは芝居商売、怒る型に心得があるから、ゆるみがない。
「ヤイ、この野郎、ふざけやがって」
和服なら尻をまくって、ハッタと睨むまえるところ。
「おい、かんべんしろよ。メシを炊いて食ったゞけで、泥棒したわけじゃアないからな。もっとも、これから、チョイとやるツモリのところだったけど、まだゞから、かんべんしてくれよ。