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とうめいねこ

透明猫

海野 十三

「少年読物」1948(昭和23)年6月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,223 字 · 21 页

青空文庫

なぜそんなことになったのか、青二には、わからなかった。あの見えない猫と同じようなふしぎな現象が、今自分のからだの上にあらわれて来たのだ。

「これからどうなるだろうか。自分もあの猫のように、からだがすっかり見えなくなってしまうのではあるまいか。ああ、そうなったら、もう生きてはいられない。自分は化け物あつかいされるだろうから……」

青二は、ここで、重大な決心をしなければならなくなった。このままうちにいて、化け物あつかいされるか、それとも誰にも見つからない世界へにげていってしまうか。

いろいろと考えなやんだ末……青二は、そっと家を出てゆくことにした。

青二は、わずかの着がえをバスケットに入れ、また片手には、透明猫を入れたふろしき包みをもち、母親に気づかれないうちに、家を出てしまった。

ただ母親がなげくとかわいそうだと思ったから、

「ぼくは急に旅行をします。心配しないで下さい。そのうちに、かならず帰って来ます。そして、うんとおもしろいおみやげ話をしましょう」

と、いう遺書を、机の上において去った。

妙な福の神

どこというあてもなく、青二は歩きつづけた。