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とうめいねこ

透明猫

海野 十三

「少年読物」1948(昭和23)年6月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,223 字 · 21 页

青空文庫

どんなにうちがこいしくても、自分はうちへかえれないのだ」

ぽたぽたとあつい涙が青二のほおをつたって、膝のうえへ落ちた。

「おい坊や。なにをそんなにふさいでいるんだい」とつぜん声を青二にかけた者がいた。

青二はびっくりして顔をあげた。するとそこには一人の青年が立っていた。ダブルの背広を着、頭髪をながくのばして、きれいに分けた紳士風の青年だった。しかし服装の小ぎれいなわりに、顔はやけトタンのようにでこぼこし、四角な頬には、にきびがたくさんふき出ていた。

が、青年は、にこやかに笑顔をつくって、青二を見下ろしていた。

「泣くなんて、男の子のすることじゃないよ。おれだって引揚げて来たときは泣きたくなったさ。だけど、泣いたってしょうがないと思ってあきらめて、あとはどんな苦しいことがあっても、にこにこして暮らしているさ。楽天主義にかぎるよ。そして困ったら、三日でも四日でもよく考えるんだ。考えて、道がひらけないことってないよ。坊やお前はうちがないんだろう」

いいえ、と答えようとしたが、青二は今はうちを出たんだから自分はうちなしだ。だから青二はうなずいた。

青年は「そうだろうと思った」