轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
とじょうのはんにん
途上の犯人
浜尾 四郎
「犯罪科学」1930(昭和5)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,477 字 · 38 页
然しどこで見たかどうしても思い出せない、という気もちは、こういう経験のある人には、その妙な焦しさがはっきりと判るだろう。
私は、いつもこういう場合、いろんな人達を、頭の中で素早く分類をして思い出す事にしている。第一は数年間検事をしていた関係から役所でいろいろな人間に会っているので(しかして一番こういう人々の数が多いから)まずこの方面を思い出して見るのだ。しかしこの変な男の顔はどうしてもその中には思い出せなかった。
次に、現在自分がつまらぬ探偵小説を書く所から雑誌社の人々や同じように文筆を弄している人々によく会う。しかもそれがごくあっさりした通り一遍の知り合いである事が多い。それで第二に私は此の方面の人々を頭の中で捜索して見たのである。所がこの変な男はこの中にもどうしても見当らないのだ。
最後に、私は、単純な顔見知りを、職業別にして考えて行ったのだが、とうとうこの中にも変な男の顔は出て来ない。
学校時代の友人や法律家としての現在会う人々の顔は忘れっこないから、結局この変な男はそのどれにもはいらない事になる。
そこで仕方がないので私は、偶然あった人々を一人一人考えて見た。