轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

とんそう

遁走

葛西 善蔵

「新小説」1918(大正7)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,581 字 · 23 页

青空文庫

そこへ土井(やはり笹川の小説のモデルの一人)がやってきた。彼はむずかしい顔して、行儀よく坐ったが、

「君のところへは案内状が行ったかね?」と、私は訊いた。

「いや来ない……」

「ふーむ」と言った彼は頤のあたりを撫で廻して、いっそうまた気むずかしく考えこんだ風であったが、やがて顔をあげて、笹川に向って言いだした。

「じつは、僕も発起人の一人となっていて、今さらこんな我儘を言ってすまないわけだが、原口君とか馬越君とかそうした親しい友人を除外した、全然出版屋政策本位の会だとすると、僕の気持としては、出席したくはないのだ。もともとそうした動機からなりたった会ではないのだからね。それで僕は今ここに明日の会費を持っているから、これで原口君とか馬越君とか明日出席しない人たちだけ寄って、僕らの最初の心持どおり、君のこのたびの労作に対して心ばかりのお祝いをしたいと思うから、どうかそういうことにして、悪しからず思ってくれたまえ」土井はこう言って、近所に住っている原口を迎えに、すぐにも起ちあがりそうな気勢を見せた。

「そりゃ君困るよ」と笹川は狼狽して言った。「そんなこと言われては、僕は困っちまうよ。