轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

とんそう

遁走

葛西 善蔵

「新小説」1918(大正7)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,581 字 · 23 页

青空文庫

そういう点について全然無自覚な君を、僕もまさか憎む気にはなれないが、しかし気の毒に思わずにいられないのだよ。そして単衣を買ったとか、斬髪したとか……いったい君はどんな気持でこの大事な一日一日を過しているのか僕にはさっぱり解らない」

こういった彼の調子には、やはり真実のあることを、私は感じないわけには行かなかった。「いや僕も、君の言うことがよく解ったよ。それでは僕も明日は出席しないからね……」私は少し哀しくなって、こう言った。

私はいわゆる作家風々主義ということについて、理解の足りなかったことに、気づいた。そしてとにかく彼は私なぞとは比較にならないほど確乎とした、緊張した、自信のある気持で活きているのだということが、私を羨ましく思わせたのだ。

私はまた彼の後について、下宿に帰ってきた。そして晩飯の御馳走になった。私は主人からひどく叱られた憫れな犬のような気持で、不機嫌なかれの側を、思いきって離れえないのだ。それにまた、明後日の朝彼が発つのだとすると、これきり当分会えないことになる……そうした気持も手伝っていたのだ。そしてお互いにもはや言い合うようなことも尽きて、身体を横にして、互いに顰め面をしていたのだ。