轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

うんめいろんしゃ

運命論者

国木田 独歩

「山比古 第十號」1903(明治36)年3月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,357 字 · 34 页

青空文庫

生の母は父の仇です、最愛の妻は兄妹です。これが冷かなる事実です。そして僕の運命です。

若し此運命から僕を救い得る人があるなら、僕は謹しんで教を奉じます。其人は僕の救主です。」

七

自分は一言を交えないで以上の物語を聞いた。聞き終って暫くは一言も発し得なかった。成程悲惨なる境遇に陥った人であるとツク/″\気の毒に思ったのである。けれども止むなくんばと、

「断然離婚なさったら如何です。」

「それは新らしき事実を作るばかりです。既に在る事実は其為めに消えません。」

「けれども其は止を得ないでしょう。」

「だから運命です。離婚した処で生の母が父の仇である事実は消ません。離婚した処で妹を妻として愛する僕の愛は変りません。人の力を以て過去の事実を消すことの出来ない限り、人は到底運命の力より脱るゝことは出来ないでしょう。」

自分は握手して、黙礼して、此不幸なる青年紳士と別れた、日は既に落ちて余光華かに夕の雲を染め、顧れば我運命論者は淋しき砂山の頂に立って沖を遙に眺て居た。

其後自分は此男に遇ないのである。