轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
へんろ
遍路
斎藤 茂吉
「時事新報」1928(昭和3)年2月10日~13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,864 字 · 6 页
しかし観音力にすがるところに盲目的な強味があるとおもいますね。一時流行した覚めた人間にはああいう苦行生活は到底出来ませんよ」
「しかしみんな遁生菩提でも困りますからね」
「そうかも知れない」
僕らは疲れきって熊野本宮に著いたのは午後二時ごろであった。そこで熊野権現に参拝した。熊野川は藍に澄んで目前を流れている。きょうの途中に、山峡からたまたま熊野川が見え出し、発動機船の鋭い音が山にこだまさせながら聞こえていたが、あれも山水に新しい気持を起させた。
この山越は僕にとっても不思議な旅で、これは全くT君の励ましによった。しかも偶然二人の遍路に会って随分と慰安を得た。なぜかというに僕は昨冬、火難に遭って以来、全く前途の光明を失っていたからである。すなわち当時の僕の感傷主義は、曇った眼一つでとぼとぼと深山幽谷を歩む一人の遍路を忘却し難かったのである。しかもそれは近代主義的遍路であったからであろうか、僕自身にもよく分からない。