轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
すぎたはるのきおく
過ぎた春の記憶
小川 未明
「朱欒」1912(明治45)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,536 字 · 11 页
二
「何処へ行ったろう……何処に隠れているだろう、ここでもない。」
などと口で言って、わざと彼方へ行くような振りをして見せて、横目でちょっと此方の様子を睨んで見る。
此方の、見付けられたと思ったものは、やっと心のうちで、これはいいあんばいに、助かったと思って、まだ胸をどきどきとして息の音を殺している。
すると、彼方へ行きかけた鬼は、また此方へうかうかとやって来て、直ぐ、その頭の見えている者の間近に来て止った。
見つけられたと思ったものは、急に頭から冷水をかけられたような気分がして、穴があったら地の中へ隠れたいと思う刹那、
「見つかった!」
と鬼は叫んで、直様、その者を捕えてしまった!
二
正一は、この子供等の中でも、どちらかといえば臆病な子供であった。而して鬼になるより、隠れる方が好きであった。
彼は、見つかった! と頭の上で言われる時には、身がぶるぶると戦えるように、ぞっとするのを覚えた。藪の中に隠れている時、鬼が此方に歩いて来る足音がガサガサと聞えると、もう身の毛がよだって、耳が熱って、心臓がどきどきした。而して、或時は、自分から、居堪らなくなって、やあ――と死に物狂いに叫んで藪の中から飛び出ることもあった。