轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みちづれ
道づれ
宮本 百合子
「文芸」1937(昭和12)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,491 字 · 41 页
ひどく、しゃくり上げる声がして、もっと何か云いながら裏口から我武者羅に駈け出す物音である。
「なアにをしてる……」
父親が立って行って、今度は一緒に、
「まあ、折角お出で下すったのに、あの子ったら……」
取乱した顔つきで髪をかきながら母親まで出て来た。友子はあっけにとられた顔をしているし、みほ子は苦っぽい涙が鼻の髄を刺すようで居堪まらない気持になった。
三人は果物包を下駄の台が括ってころがされていた傍へこっそり置いて、いくつもお辞儀をしてそこを出た。
やっと晴やかに街燈の燦いている大通りへ出て時江が、
「どうしたんだろう、幸子さんたら……」
と肝を消したように呟いた。
「何か勘ちがいしたのかしら……」
「だって――まさか。病気のせいでヒステリーんなったんでしょうか。何て、こわかったんでしょう」
みほ子は黙ってつれたちの喋るのをききながら、内輪の足元が一層のろくなったように停留場へ向って歩いた。
五
みほ子の住居は、そこから山下まで戻ってまた電車をのりかえなければならないところにあった。電車の数がすくないので、此方の混み合いようはひどかった。しかもカーブつづきで池の畔をまわってゆくので、乗客がグーと一方へ重心をかけて揺れかかって来ると、出入口の金棒のところにおっついているみほ子の胸元が痛いほど圧しつけ