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みちづれ

道連

豊島 与志雄

「中央公論」1924(大正13)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,366 字 · 37 页

青空文庫

……がまあそんな説明はどうでもいい。僕が実際に経験したことを少しばかり話してきかせよう。面白かったら聞くがいいし、面白くなかったら居眠りでもし給いな。どうせ君なんかには本当のところは分るまいから。……がまず、煙草でも一服吸ってからだ。

一

僕が高等小学校の一年の時だった。その頃は今のように、尋常小学が六年でその上に二ヶ年の高等科がついてるという、そんな制度ではなくて、尋常小学は四ヶ年だけで、その尋常小学を幾つか総括した上に、やはり四ヶ年の高等小学があった。で田舎では、尋常小学校は各村にあったが、高等小学校はごく少く、例えば一町六ヶ村に一つという風に、中心地の町にあるのだった。だから僕は、尋常小学を終えて高等小学にはいると、自分の家から一里の道をその町まで通わねばならなかった。その第一年目の秋のことだ。

学校で遠足があった。町から二里ばかり離れた山に……山と云っても七八百尺の山だが、それに登山をして、尾根伝いにも一つの山まで行って、それで帰ってくるのだったが、朝のうち深い霧で晴雨のほども分らなかったものだから、出発が二時間も遅れたし、山の上でぐずついてたりしたので、学校に帰って来た時はもう日が暮れていた。