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せんきょさつじんじけん
選挙殺人事件
「小説新潮 第七巻第八号」1953(昭和28)年6月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,782 字 · 28 页
しかし、それは、選挙の結果が人ぎきのわるい得票数に終ったせいのようだ。選挙の話がでると軽蔑されてるようなヒガミが起るらしい風でもあった。
この上はポチャ/\夫人からききだす一手であるが、選挙が終ってみると、面会を申しこむのも手掛りがない感じで、そのためにシキイをまたぐ勇気がでない。休みの日に半日往来で待ち伏せして、買い物にでたところをようやく捉えることができた。
「選挙のとき、三高さんの運動員の一人に貸してあげた物があるんだけど、その人、居ませんかね」
「運動員なら全部居る筈ですわ。従業員ですから」
「ところが居ませんよ」
「そんな筈ないわ。やめた人ないもの」
「四十がらみの男ですよ。ボクがはじめてお宅へ行ったとき取次にでた男なんです」
「そんな人いたかしら?」
「いましたよ。キチガイじみた高笑いをした男がいたじゃありませんか」
「そう、そう。江村さんね。あの人は従業員じゃありませんよ。ウチの者じゃないのよ。選挙の運動員でもないわ。たまに来て手伝ったことはありますけど、お金を盗んで、それッきり来ないわ」
「お宅のお金を盗んだのですか」
「ええ。選挙費用を十万ほどね。