轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

せんきょさつじんじけん

選挙殺人事件

坂口 安吾

「小説新潮 第七巻第八号」1953(昭和28)年6月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,782 字 · 28 页

青空文庫

三高はイヤそうに顔をしかめたが、笑い声を制しなかった。選挙中は何事も我慢専一という風に見えた。

「立候補の御感想を伺いに参りましたが」

「まアお楽に」候補者らしく如才のない様子だが、それがいかにも素人くさい。それだけに、感じは悪くなかった。

「立候補ははじめてですか」

「そうです」

「どうして今まで立候補なさらなかったのですか」

「それはですね。要するに、これはワタクシの道楽です。ちょッとした小金もできた。それがそもそも道楽の元です。金あっての道楽でしょう。御近所の方々もそれを心配して下さるのですが、ワタクシはハッキリ申上げています。道楽ですから、かまいません。かまって下さるな。ワタクシに本望をとげさせて下さい、と」

「本望と申しますと?」

「道楽です。道楽の本望」

「失礼ですが、ふだんからワタクシと仰有る習慣ですか」彼はギョッとしたらしく、みるみる顔をあからめて、

「失礼しました。ふだんはオレなぞとも云ってましたが……」馬鹿笑いの男が部屋の隅できいていて、今度はクスクス笑いだしたので、寒吉は三高が気の毒になった。

「無所属でお立ちですが、支持するとすれば、どの政党ですか」