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しゅうぶん

醜聞

山本 周五郎

「小説新潮」新潮社、1964(昭和39)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,900 字 · 46 页

青空文庫

内容こそ変っているが、いまのおれは苅田壮平と同じように怯えている。しかも罪を犯した者に逆手を取られてだ――だらしのないという点では、むしろ苅田のほうが男らしいではないか、と彼は自分に云った。

五日たち、七日たち、十日すぎても、さくらのあらわれるようすはないし、吾平らしい男も見かけなかった。功兵衛は決心して、横目付の堀三左衛門にあらましのことを語り、さくらと吾平を捜してくれるように頼んだ。堀は町奉行と連絡をとり、できるだけ早く捜しだそうと答えた。

そして三日めの夜、堀三左衛門が報告に来た。功兵衛は自分の居間へ招きいれ、火桶をあいだにして坐った。

「外はいい月夜です」と堀が云った、「まるでひるまのようですよ」

功兵衛は頷いただけであった。

「おたずねの女のいどころがわかりました」と堀は声を低くして云った、「伊勢屋ではなく、隣りの津田屋という木賃旅籠でした」

「隣りとはね、覚え違えたんだな」と功兵衛は云った、「それで女はどうしていました」

「死にました」

「死んだ」功兵衛は絶句した。

「十三日まえの晩、卒中だったそうです」

ではさのやで会ったすぐあとだな、と功兵衛は思った。