轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

のざらし

野ざらし

豊島 与志雄

「中央公論」1923(大正12)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,100 字 · 39 页

青空文庫

けれどあんなのはまだいいよ。退屈にせよ憂鬱にせよ、世界的に偉大さと深さとがあるからね。所が僕のは何もかも薄っぺらなのだ、ふやけてるんだ。九州の炭坑へでも追いやられたら……光を失って闇の中へでもはいったら。……」

昌作は口を噤んだ。ふと無意識に出て来た言葉から衝動を受けて、眼前の沢子に対する情熱が高まってくるのを感じた。胸の中に苦しい震えが起った。

沢子は静かな調子で云った。

「あなたには炭坑よりも農場なんかの方がいいと、私思ってるわ。盛岡の農林学校に中途までいらしたでしょう、その方がよほど自然よ。農場で仕事をしながら、昆虫でも研究なさるのは、いい生活じゃないでしょうか。そら、いつかお話なすったでしょう、昆虫のことばかり書いてるフランスの何とか云う人の書物……。」

「ファーブルの昆虫記だろう。」と昌作は心が他処にあるかのように非常にゆっくりした調子で云った。「あんなものはもう嫌だよ。あの世界は大部分争闘の世界だ。僕はもっと他のものがほしい。闘いではなくて……。」

「では、詩人は?」

「詩人!」

昌作は何故となく喫驚した。

「私あなたの詩を覚えてるわ。」

「僕の詩だって?」