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きんぞくにんげん

金属人間

海野 十三

「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页

青空文庫

蜂矢は、すぐには返事ができなかった。見たと答えるのが正しいか、見ないといったほうがよいか。

「はっきり手にとってみたことはありませんねえ」

「手にとってみるなんて、そんなことはできないよ。だが、すこしはなれて見ることはできるのだ。どうだ、見たいかね」

「ぜひ見たいものですね」

「よろしい。見せてやろう。金属Qを、近くによってしみじみ見られるなんて、きみは世界一の幸運者だ」

そういうと博士は、いきなり上衣をぬぎすてた。チョッキをぬいだ。高いカラーをかなぐりすてた。

その下から、おそろしい大きな傷あとがあらわれた。くびからのどへかけて、はすかいに十センチ近い、大傷を、あらっぽく糸でぬいつけてある。そんなひどい傷をおって、死ななかったのが、ふしぎである。

博士は、ワイシャツもぬぎとばして、上半身はアンダーシャツ一枚になった。

それでもうおしまいかと思ったが、博士はまたつづけた。手を頭の繃帯にかけた。それをぐるぐるとほどいた。

「おおッ」

ようやくにしてとれた長い繃帯の下からあらわれたものは、頭のまわりをぐるっと一まわりした傷あとであった。

それを見ると、蜂矢は気絶しそうになった。