轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きんざんそうわ
金山揷話
大鹿 卓
「中央公論」1939(昭和14)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,736 字 · 22 页
私は何か憂愁を帯びた顔つきになっていたらしい。折から汽車が山の小駅を通過すると、
「ああ、銀山だ。この辺は吹雪の多いところだ。十二月になると時々汽車が立ち往生することさえあるよ」
同行の土田がそういって前の席から説明した。土田は更に、過ぎ去った窓外をのぞき返しながら、
「あの駅の索道も、ずいぶん永いあいだ錆びついたようになってて、此処を通る度に気になっていたが、この頃やっぱり動き出したようだね」
と、微笑した。
「鉱山はどの辺にあるのだろう?」
「さあ、ここからは見えないだろう。いずれ向うの尾根の裏側にあたるだろうから」
土田が硝子窓の曇りを拭うのにさそわれて、私も額を寄せて覗いたが、低い盆地をへだてた彼方の尾根は、濛々としらみわたって降る雪にとざされ、茫と影のようにしか見えなかった。
休山となり廃山となって、永らく自然の荒廃に委されていた鉱山のうちにも、事変以来復活の道を辿りだしたものが少なくない。また、新しく採鉱坑道の開鑿に着手された鉱山も、もちろん多いことだろう。この銀山駅の索道を一例とするまでもなく、旅をすれば思わぬ場所で、そうした鉱山熱の片影に触れたりする。