轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きんどけい

金時計

泉 鏡花

「侠黒兒」少年文學、博文館、1893(明治26)年6月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,568 字 · 12 页

青空文庫

へいげんこの夕また愛妾を携えて門前に出でぬ。出でて快げに新開地を歩み行けば、松の木蔭に雨宿りして、唯濡れに濡れたる一個の貧翁あり。

多くの草刈夥間は驟雨に狼狽して、蟻のごとく走り去りしに、渠一人老体の疲労劇しく、足蹌踉いて避け得ざりしなり。竜動の月と日本のあだ花と、相並びて我面前に来れるを見て、老夫は慌しく跪き、

「御時計は、はあ、どこにもござりましねえ。」

幾多の艱難の無功に属したるを追想して、老夫は漫に涙ぐみぬ。

美人は流眄にかけて、

「ほんとに御苦労だったねえ。」と冷かに笑う。

へいげんは哄然大笑して、

「日本人の馬鹿!」

と謂い棄てつ、おもむろに歩を移して浜辺に到れば、一碧千里烟帆山に映じて縹渺画のごとし。

へいげん美人の肩を拊ちて、

「人間は馬鹿な国だが、景色の好いのは不思議さ。」

と英語をもって囁きたり。

洋妾はへいげんの腕に縋りつつ、

「旦那もう帰ろうじゃございませんか。薄暗くなりましたから。」

「うむ、そろそろ帰ろうか。あの門外の鬱陶しい草には弱ったが、今ではさっぱりして好い心持だ。」

「ですけれども、あの人足輩はどんな気持でしょうね。」

「やっぱり時計が見着からないのだと想って、落胆しているだろうさ。