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きんば
金歯
小川 未明
「文芸」1935(昭和10)年3月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 7,108 字 · 14 页
」
「なぜ、また、そんなことを聞くのかい。」
「昨日のことよ、どこかの人が、たいへん精巧な空気銃を提げて歩いていたのですって。そして、片手にたくさん打ったすずめもぶらさげて。そこへ令ちゃんが通りかかると、ちょうど、高い木のこずえに、すずめが二、三羽止まってないているのを、その男の人が見つけて、すぐにねらったのですって。そのとき、令ちゃんはどうかして、あのすずめが助けられないものかと思ったから、暗くなって、盲目の鳥を打つのは、だれだってできるなと、そばの子供たちに向かって、大きな声で、いったそうです。すると、その男は、ねらいを中止して、そんなら君打てるかといって、令ちゃんをにらんだそうよ。」
母親は、この話に、深い興味を覚えたらしく、笑って、
「それから、どうしたでしょう。」といいました。
「僕は殺生はきらいだ。もし、おじさんが、ほんとうに名人なら、このおかめどんぐりを打ってお見せよ。そうしたら、僕は、敬服するがなあといって、令ちゃんは、一人の子供が手に持っているどんぐりを一つもらって、道の遠くへ置いてきたのですって。」
「まあ、そうして……。」
「すると、その男の人は、どんぐりをねらって、うまく当てたのですって、どんぐりが破れて弾丸が、石にあたって、火が出たそうよ。