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きんせんについて

金銭について

山本 周五郎

「労働文化」労働文化社、1961(昭和36)年10月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,221 字 · 11 页

青空文庫

――タイム・イズ・ゴールド――

私はそんな高い原稿料はいただいたことはございませんけれども……。

――タイム・イズ・ゴールド――

問 勤倹貯蓄は美徳ならず――とすると、“浪費”ということを先生はどうお考えになりますか。

答 浪費という問題がでますと、よくひきあいに出される話しなんですが、アレキサンドル・デューマ、彼はなかなかの浪費家であった。ステッキの頭にダイヤモンドを嵌めていたとか、一晩に何千フランも使って宴会をひらいたとか、たいへんな浪費のおん大将といわれておったのですが、死ぬときに、自分の子供のデューマ・フィスを呼んで、『俺は浪費家だといわれているが、マントルピースのうえを見ろ』と。で、フィスが行ってみたらマントルピースの上に五フランの金貨があった。『俺はパリーにでてくるときに五フランの金貨ひとつを持って出て来たのだ。その五フランの金貨はそこにある。俺はなんにも浪費はしていない』と。

……これは実に見事に浪費という言葉、(これは勤倹貯蓄というものの反語でございますけれども)浪費というもののいい見本だと思います。つまり、浪費をするかしないかということは、これは要するに意地わるな小舅がいうことであって、それが浪費であるかないかということは、その人が死んでその人がしたことと、その人が残したこととを相殺した場合におこることであって、しかもそれ