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きんぎょうり

金魚売り

小川 未明

「赤い鳥」1927(昭和2)年6月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,210 字 · 7 页

青空文庫

たくさんな金魚の子が、おけの中で、あふ、あふとして泳いでいました。体じゅうがすっかり赤いのや、白と赤のまだらのや、頭のさきが、ちょっと黒いのや、いろいろあったのです。それを前と後ろに二つのおけの中にいれて、肩にかついで、おじいさんは、春のさびしい道を歩いていました。

このおじいさんは、これらの金魚を仲買や、卸屋などから買ってきたのではありません。自分で卵から養成したのでありますから、ほんとうに、自分の子供のように、かわいく思っていたのです。

「これを売らなければならぬとは、なんと悲しいことだろう。」

こう、おじいさんは思ったのでした。

春の風は、やわらかに吹いて、おじいさんの顔をなで過ぎました。道端には、すみれや、たんぽぽ、あざみなどの花が、夢でも見ながら眠っているように咲いていました。あちらの野原は、かすんでいました。

いろいろの思い出は、おじいさんの頭の中にあらわれて、笑い声をたてたり、また悲しい泣き声をたてたかと思うと、いつのまにか、跡も形もなく消えてしまって、さらに、新しい、別の空想が、顔を出したのです。

人家のあるところまでくると、おじいさんは、