轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

12 悲願百両

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,957 字 · 31 页

青空文庫

そして、石場に面した連子窓の雨戸を開けて、戸外に見入った。

湿った闇黒が、音を立てて流れ込んで来て、藤吉は、屋棟を過ぎる風の音を、聞いた。

いつの間にか、黒い風が出ていた。

七日前の晩と同じ、ひどい烈風だ。大川の水が、石場の岸に白く泡立っていた。柳が、枝を振り乱して、陰惨な夜景である。この番所の一軒家は、突風に踏みこたえて、戸障子が、悲鳴を揚げているのだ。斬られるような、寒気だ。それが、河風に乗って迫って来た。積み石を撫でる柳枝の音が、遠浪のように、おどろおどろしく耳を噛んだ。おこうは窓のまえを動かない。

冷えた肩を硬張らせた惣平次は、その、老妻の背後すがたに眼を凝らして、ちょこなんと、坐ったきりだ。

諦めたらしく、おこうが窓を締めて、炉ばたへ引っ返そうとした時である。

野猿梯子が、ぎしと軋んで、つづいて、壁の中を掠めて、鼠が騒いだ。行燈の油が足りなくなったのか、圧迫的なうす暗がりが、四隅から、絞ってきていた。

戸を、そとから叩く音がするのだ。三人の顔が、合った。いっしょに、戸のほうを向いて、おこうが、

「何でしょう――。」

惣平次は、ちら、ちらと、藤吉へ眼を走らせて、