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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
02 梅雨に咲く花
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,515 字 · 23 页
「その癩病人てえのがお新女郎の情夫よ――森元町の他に新仏がもう一つ、いやさ、二つかも知れねえ。佐平どん、お忙しいこったのう。」
火消しの一人があたふたとそこへ飛んで来た。
「た、大変だ! 若え坊さんが裏の井戸へ――。」
「はっはっは、言わねえこっちゃねえ。提灯屋、ま、不平さねえで御用大事と――勘、どこかで茶漬けでもかっこんで帰るべえ。彦、紙屑籠を忘れめえぞ、はっはっは、いや、皆さん、何ともかともおやかましゅう――。」
五
「よくも親分、ああ早くから当りがつきやしたのう。」
「まあ、呑め、一杯呑め。」新網町の小料理屋おかめの二階へどっかりと胡坐をかいた釘抜藤吉は、珍しく上機嫌だった。「おうっ、姐さん、赤貝の酸を一枚通してくんねえ。こうっと――そうよなあ、傷口を検て菜切りと睨んだんだが、玉が四時と来て、その下の土が八つ半からの雨にしこたま濡れてるとすりゃあ、彦の鼻っ柱の千里利きじゃねえが、他から運んだと見当が立たあな。石垣上の黄色い花を見て、――勘、今日だきゃあ呑め、ま、一杯呑め――花を見て俺あ朝の癩病人を思いついたんだ。彦から貰った鞐もあるし、こいつあ臭えと上ってみるてえと、勘の前だが、落花狼藉よ。