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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

02 梅雨に咲く花

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,515 字 · 23 页

青空文庫

なあ、勘、枝を弄くった竹っ切も落っこってたなあ。」

「小枝はうんとこしょ落ちてたが、あの竹の棒がいったい親分何の足しに――?」

「佐平の爺め、あれで死骸に被せてあった小枝を払いやがったのよ。勘、汝もちったあ頭を働かせ、大飯ばかり食いやがって。」

「だが、親分、何のために竹づっぽで?」

「知ってる者あ知ってらあな。爺だって婆あだって、癩病人にゃなりたかねえからよ。」

「ふうん。」彦兵衛が唸った。

「やい、彦、俺の真似をするねえ。」

「真似じゃねえが、」と葬式彦兵衛は眼をしょぼしょぼさせて、「野郎が八丁堀を通って近江屋へ買いに行ったあの牛蒡と生姜はなんですい?」

「妙薬よ。」

「天刑病のでございますかい?」

「誰が天刑病だ?」

「犯人。」

「はっはっは、間抜め。」酒をこぼしながら、膝を揺がせて藤吉は笑った。「朝からどうもあの折助の面つきが、眼の底から抜けねえような按配だったが、ありゃあお前、癩病じゃねえ。どでえ、病いじゃねえ。」

「へえ――い?」

「へえでもねえ。」

「まあ、親分、冗談は抜きにして――。」

「冗談じゃねえよ、漆かぶれだ。」

「え?」

「うるし。」

「うるし?」

「そうよ、う、る、し、てんだ。