轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぎんのペンセル
銀のペンセル
小川 未明
「児童時代 創刊号」1930(昭和5)年12月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,618 字 · 6 页
いつしか、約束した翌日とは、なったのであります。
しらかばの下へ、勇ちゃんはくると、すでに少年は待っていました。おたがいに、にこにことして、また、珍しい草をさがしたり、石を谷に向かって投げたりしましたが、勇ちゃんは、忘れないうちに、持ってきた、銀のペンセルを出して、
「これを君にあげよう……。」といって、少年に渡そうとしたのです。
少年は、手を出したが、じっと見て、それをもらおうとはしませんでした。
「僕、こんないいものいらない。」と、顔を赤くしながら辞退しました。
「いいから、君にあげよう。」と、勇ちゃんは、無理にも取らせようとしました。
「僕、鉛筆があるから、いらない。」と、少年はなんといっても取らなかったが、ついに、駆け出していってしまったのです。
勇ちゃんは、あとで、さびしい気がしました。それから、温泉場を立つ日まで、ふたたび少年を見ることができなかったのでした。東京へ帰る汽車の中でも、勇ちゃんは、少年のことを思い出していました。
「なんで僕のやろうといった、ペンセルを取ってくれなかったのだろうな……。」
こう思ったが、一方に、ペンセルなんか欲しがらない、少年が、なんとなくなつかしく感じられたのです。