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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
124 唖娘
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,006 字 · 25 页
物言いの柔らかさ、恰幅の立派さ、相対しているガラッ八は、なんとなく圧倒され気味です。
「いや、あっしは遊芸が大嫌いで、何にもやったことはありませんよ」
ガラッ八はツイ正直なところを言ってしまいました。本当に法螺も吹けない男です。
「それはどうも」
主人の竹斎もことごとく痛み入ります。
「ところで入門料はいくらでしょう」
八五郎は懐の四文銭六枚で足りなかったらどうしよう――といった当り前すぎることを考えながらこう脈を引いてみました。
「それには及びませんよ。どうせ道楽でやっていることで、――この節は御存じの通り、金があるからといって、ただで喰っていられる世の中ではございません」
主人の竹斎はホロ苦い笑いを笑いました。その頃は浪人や無宿者の取締りがやかましく、足腰の達者な男は、何か活計の立つような名目だけでも持っていなければならなかったのです。
「それはどうも」
ガラッ八はもぞもぞしました。四文銭六枚が助かったのは良いが、こう坐っていると、シビレがきれてやりきれません。
不意に、後ろの襖があいて、黙ってお茶を出したものがあります。
「…………」
ガラッ八は危うく声を出すところでした。