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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

124 唖娘

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,006 字 · 25 页

青空文庫

五

「…………」

「師匠の暮し向きの派手なのが、ツイ人の噂に上って、この暮しに費う金がどこから出たか、銭形の親分も変に思っているのさ。今になって、うっかり素姓を隠したり、金の出所を言わなかったりすると、どんな疑いを受けるかも解らないが、いいだろうな師匠」

二人の美しい妹が、隣で息を殺しているのを感ずると、八五郎もツイこれだけの事を教えてやる気になったのです。

五

「それじゃ、言いにくいことだが、何もかも打ち明けましょう。聴いて下さい、八五郎親分」

滝三郎の竹斎は、膝に手を置いたまま、ジッと耳を澄ましました。

夏の宵はまだ薄明るく、外を通る人の跫音が、なんとなくあわただしいのさえ、この家一軒が、十重二十重に取囲まれているような錯覚を起させます。

「実は八五郎親分」

竹斎は続けました。

「この家は慶安の春、謀叛を企てて処刑になった、丸橋忠弥の道場の跡だ」

「えッ」

丸橋忠弥の道場がお弓町にあった事は、語り伝えに聴いておりますが、この敷地がそうとは、八五郎思いも及ばなかったのです。

「私がこの家へ入ったのは一年前。いろいろ修覆しているうちに、床下に穴蔵のあるのを見付け、何心なく入ってみると、由井正雪の一味が隠したものか、中には千両箱が三つ」