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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
124 唖娘
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,006 字 · 25 页
「妹二人も江戸言葉か」
「ヘエー、小さい妹――顎に痣のあるお雪というのが十九で。これはよく話しますが、姉の方の多与里は二十三だそうですが、可哀想に物が言えません」
「フーム」
「唖ですよ、親分」
「そいつは気の毒だな」
「とんだ良い娘が、可哀想じゃありませんか。一人は痣があって、一人は唖で」
「若い女は虫歯の痛いのまで可哀想に見えるんだろう。――ところで、そんな金持のくせに、尺八の師匠は物好きだな、弟子はあるのかい」
「四五人来るようです。門次、伊之助、三太、由松なんてのが」
「皆な土地の者か」
「いいえ、この辺では顔を見たこともない人間で」
「まアいい、せいぜい火吹竹の稽古をすることさ。――総領は尺八を吹く面に出来――か、川柳は面白いことを言うぜ。八五郎の顔も、鼻の下がだんだん伸びて来るから妙さ」
「冗談でしょう」
八五郎は平手でブルンと鼻の下をこき上げました。
「ところで、近頃は他国者がやかましい。ましてそんな豪勢な暮しをする者は、なんとしても目に立つから、気が付いて黙っていちゃお上へ悪かろう。大坂へ問い合せて、一応身許を調べるから、山城屋の町所を訊いてくれ、大坂の弟のやっている店だよ」