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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
野村胡堂『銭形平次捕物控 鬼の面』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,082 字 · 257 页
【第三回】
一
気の付いた時は、岩良と二人、メチャ/\に縛られて納戸に投り込まれて居たのです。いやはや、どうも、沙汰の限りで、これで春徳寺の再興もフイになるかと、私は私の不徳を責める外はありません」
慾の無さそうな老僧ですが、それでも一代の心願がフイになると思ってか、眼をショボ/\させて歎くのです。小坊主は傍から、老師の泣き濡れた顔を珍らしそうに覗いて居ります。あまり賢くは無さそうです。
【第三回】
一
春徳寺の三千両紛失事件は、それっきり迷宮入になって、阿波屋三郎兵衛の手代宗次郎を殺した、兇悪な下手人も、見当もつかぬうちに三日五日と日が経ちました。
ある生温かい日の夕方、
「親分、あの病人の臍の穴まで調べて来ましたよ」
こんな途方もない事を言いながら、相変らず旋風のように飛んで来たのは八五郎でした。
「何を言うんだ、馬鹿々々しい」
平次は縁側の日南で、鼠の尻尾のような、世にも情けない、懸崖の菊の鉢の世話をして居りました。
「でも、親分は新鳥越の越中屋釜六のところを、時々は覗いて見るように――って言ったでしょう」
「お前が、あのお比奈という娘の顔を見たい様子だったから、大した用事でもない用事を頼んだのさ。