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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

野村胡堂『銭形平次捕物控(二)八人芸の女』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 页

青空文庫

お通夜の席から、そっと主人を呼出して、お相談申上げたのはそのためでございます」

「フーム」

そう聴くと、何の疑いもなくなります。

「が、宵に一度庭へ出たくらいなら夜中にも出ないとは限るまい」

万七の問の拙さ。

「とんでもない。親分さん」

「昨夜の通夜は、誰々だい」

「主人と私と、手代の茂助と、小僧の角太郎と、それに御新造の御知合の方が二人、下女のお金はお勝手におりました」

「お咲の知合の方というのは?」

「吉原の方で――もっともこれは宵のうちに帰りました。泊ったのは店の者ばかりで――ヘエ」

「昼のうち、主人に変ったことはなかったのかい」

これは平次です。

「咲を殺した下手人が判るかも知れない――と、ソワソワしておりましたが」

「…………」

これだけでは何が何やら判りませんが、とにかく、何か用事があって庭へ出た主人が、不意に後ろから襲われて殺されたことだけは確かでしょう。

一人一人当ってみましたが、手代の茂助も、下女のお金も、小僧の角太郎までも、知らぬ存ぜぬの一点張で、完全な不在証明を持っている者は一人もありません。

平次は鬱陶しい心持で、車坂の溜屋に向いました。が、ここにも、脱け出す機会を持っている者は二人や三人はありますが、主人幸七を殺すほどの動機を持った者はありません。