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かぎ
鍵
谷崎 潤一郎
「中央公論」中央公論社、1956(昭和31)年1月、5月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,182 字 · 200 页
ストロボノフラッシュヲ用イレバ露出時間モ長キヲ要シナイカラ、三脚ヲ使ワナイデ写セル。目下ノトコロ好事ノ士ガ稀ニ用イルノミデ一般ニ普及シテイナイガ、普通ノ手札型ノロールフィルムニ印画紙ガ重ネテアルモノデ、容易ニ日本デハ手ニ入ラズ、一々アメリカカラ取リ寄セルノデアル。トコロデ木村ノ友人ニソノ機械トフィルムヲ持ッテイル人ガアルノダガ、「オ入リ用ナラ借リテ来テモヨロシュウゴザイマス」ト云ウノダッタ。ソウ云ワレテ僕ハ直チニ一ツノ着想ヲ思イツイタガ、シカシ、僕ニソウイウ機械ノアル※(コト、1-2-24)ヲ教エタラ僕ガ喜ブデアロウトイウ※(コト、1-2-24)ヲ、ドウシテ木村ハ察シタノデアロウカ、ソレガ不思議ダ。彼ハヨクヨクワレワレ夫婦ノ間ノ秘密ヲ知ッテイルモノト思ワナケレバナラナイ。………
二月十六日。………先刻、午後四時頃、ちょっと気になる出来事があった。私は日記帳を茶の間の押入の用箪笥の抽出(私以外には用のない、誰も手を触れることのない抽出)の、臍の緒書だの父母の古手紙だのの重ねてある一番下に突っ込んでおいて、なるべく夫の外出の隙を狙って書くようにしているのだが、忘れないうちに書いておきたいこともあるし、急に書きたい衝動に駆られることもあるので、夫の外出を待っていられず、彼が書斎に閉じ籠っている時にも書く。