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もん

門

夏目 漱石

宗助在秋日午后躺着发呆,和妻子有一搭没一搭聊天,平淡的日子下好像藏着说不出口的秘密。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 页

青空文庫

一本は夢中に呑んだ。二本目は無理に呑んだ。三本目にも酔えなかった。宗助は背を壁に持たして、酔って相手のない人のような眼をして、ぼんやりどこかを見つめていた。

時刻が時刻なので、夕飯を食いに来る客は入れ代り立ち代り来た。その多くは用弁的に飲食を済まして、さっさと勘定をして出て行くだけであった。宗助は周囲のざわつく中に黙然として、他の倍も三倍も時を過ごしたごとくに感じた末、ついに坐り切れずに席を立った。

表は左右から射す店の灯で明らかであった。軒先を通る人は、帽も衣装もはっきり物色する事ができた。けれども広い寒さを照らすには余りに弱過ぎた。夜は戸ごとの瓦斯と電灯を閑却して、依然として暗く大きく見えた。宗助はこの世界と調和するほどな黒味の勝った外套に包まれて歩いた。その時彼は自分の呼吸する空気さえ灰色になって、肺の中の血管に触れるような気がした。

彼はこの晩に限って、ベルを鳴らして忙がしそうに眼の前を往ったり来たりする電車を利用する考が起らなかった。目的を有って途を行く人と共に、抜目なく足を運ばす事を忘れた。しかも彼は根の締らない人間として、かく漂浪の雛形を演じつつある自分の心を省みて、もしこの状態が長く続いたらどうしたらよかろうと、ひそかに自分の未来を案じ煩った。