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いんてんにほんがしょかん

院展日本画所感

和辻 哲郎

「中央美術」1919(大正8)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,096 字 · 10 页

青空文庫

歌舞伎芝居や日本音曲は、徳川時代に完成せられたものからほとんど一歩も出られない。もし現在の日本に劇や音楽の革新運動があるとすれば、それは西欧の伝統の輸入であって、在来の日本が生み出したものの革新ではない。それに比べると日本画には内からの革新衝動があるように見える。たといそれが、世界的潮流に乗っている洋画家の努力から見て、時代錯誤の印象を与えずにはいない程度のものであるにしても、とにかく現代人の要求を充たすに足りる新生面の開拓の努力は喜ぶべきことである。

しかしこの十年来の革新の努力がどういう結果を生んだかという事になると、我々は強い失望を感ぜずにはいられない。美術院の展覧する日本画が明らかに示しているように、この革新は外部の革新であって内部のそれではないのである。

美術院展覧会を一覧してまず感ずることは、そこに技巧があって画家の内部生命がないことである。東洋画の伝統は千年の古きより一年前の新しきに至るまでさまざまに利用せられ復活せられて、ひたすら看衆の眼を奪おうと努めている。ある者は大和絵と文人画と御舟と龍子との混合酒を造ってその味の新しきを誇り、ある者はインドとシナの混合酒に大和絵の香味をつけてその珍奇を目立たせようとする。