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かいだん

階段

海野 十三

「新青年」博文館、1930(昭和5)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,588 字 · 32 页

青空文庫

何をやっているのだろうか。二階へ直ぐ様昇ろうかと考えたが、僕が行けばやめてしまうにきまっている。僕はいいことを思い付いた。それは、一階には手のとどかない高い書棚の本をとるために軽い梯子のあるのを幸い、これを音のすると思われる直下へ掛け、それに昇って一体何の音であるのかを確めてみようと考えた。僕は静かに椅子から身を起すと抜き足差し足で、その梯子のある階段のうしろへ廻った。がそのとき階段のうしろで、意外なことを発見してしまった。というのは、廊下へ通ずる戸口の蔭に、ミチ子と、それから何ということだろう、友江田先生とが、ピッタリ寄り添って深刻な面持で密談をしていたではないか。

「これは、古屋君」

「先生、えらい事件が起りましたね」

「いまも京町さんと話をして居たことです。ソフトカラーをしているお互いは、ネクタイで締められないように用心が肝要だとナ。ハッハッハッ」先生は洞のような声を出して笑った。ミチ子は僕達のところから飛びのくと、タッタッタッと階段を二階へ登って行ったので僕の計画は見事に破壊せられてしまった。だが先生はミチ子と何の話をしていたのだろう。

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