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しゅうだんみあい

集団見合

坂口 安吾

「サロン 第三巻第七号」1948(昭和23)年7月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,818 字 · 6 页

青空文庫

相手の女が雑誌記者じゃないか。私はちゃんと知っているのだ。

私のところへ一服休憩にきて、

「あ、あの子は、ちょッと、シャンだ。あれをやろう」

「よせよ。あれもヒヤカシだよ」

「ウソですよ。素人娘ですよ」

と走って行って、ワタリをつけている。三十分ほどして戻ってきたから、

「オイ、あの女は、横浜で焼けだされて、厚木の近所の農村へ疎開してると云ったろう」

「アレ、僕たちの話、立聞きしましたね」

「別の男とやってるのを聞いてたんだよ。いゝかい、あの女と、あの女と、あの女と、あの女、四人のちょッとした女はみんな一味だよ。あそこにいるオバサンを軍師にして、ヒヤカシに来ているのだ」

見合いに忙しい御当人には分らないが、私のような見物人には、化けの皮が分るのである。

要するに見合いに立ち騒いでいる大部分はニセモノばかりで、二千余人のホンモノはボンヤリ立ってニセモノの大活躍を見ているばかり、自分の力で言い寄る勇気がない。恐らく主催者がなんとかしてくれるものだろうと思って出てきた人で、多くはわざわざ田舎から来た真剣な人たちのようであった。そして五六時間ボンヤリ河原に突っ立っていただけで、一言も誰と言葉を交わすでもなく、むなしく帰って行ったのだ。