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ざっしん(に)

雑信(二)

種田 山頭火

「椋鳥会『初凪』」1913(大正2)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,294 字 · 5 页

青空文庫

△自己批評は三人の私生児を生んだ。自棄生活、隠遁生活、そして自己破壊。私はそのいずれと結婚したか。……

深い穴がある。

冷たい風が吹く。

誰やら歩いてくる――

灰色の靄の奥から、

トボ/\と歩いてくる。

誰だ!

シツカリしろ!

ビク/\するな、

急げ、急げ、

愚図々々せずに急いで来い!

危ない、気を付けろ!

穴がある、

深い穴がある、暗い穴がある。

落ちるぞ、いつそ飛び込め!

――あ、彼は――私はヅドンと倒れた※

△人生には解決がない。ただ解決らしいものが一つある。それは死だ! と誰やらが叫んだ。然かも死そのものを信じえない人にとっては死もまた解決らしくさえない!

△人生とは矛盾の別名である。矛盾に根ざして咲いた悪の華、それが芸術だと信じていた。今でもそう信じている。と同時に芸術はどうしても道楽という気がして仕方がない。現実の苦痛に泣笑しつつ都々逸でも唄いたくなる。情ない、あさましいと思うけれど、事実は飽くまでも事実である。

△放浪によりてえたる貧しき収穫より――旧作□

美しき人を泣かして酒飲みて調子ばづれのステヽコ踊る

旅籠屋の二階にまろび一枚の新聞よみて一夜をあかす

酒飲めど酔ひえぬ人はたゞ一人欄干つかみて遠き雲みる