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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

「――わたしたちの不幸はみんな父に原因があると思いますの。父だって母にがみがみいわれていやかもしれませんけど、みんな父がまいた種ですもの。つらいのは母ですわ。わたしだって同じですわ。今となってはもう父に何も求める気はありませんの。父がそのつもりになってくれて、はっきりと別れてくれればいいと思いますの。女はなにをしてでも暮せますもの。母にしろわたしにしろ、女中の口ならいくらもありますわ。わたし、いつもそれをいいますの。母もその気でいるんですよ。めいめいが自分のからだ一つに責任をもちましょうって。それには一家を解散するしかないと思うんですけど。それでね、まず身軽なわたしが出てゆくからって宣言しましたらね、父はむっつりして、出ていったんですよ。これが、おこって出ていったのなら心配しませんわ。ぺしょんとしてたもんだから、余計な心配しましてね。そしたらこちらでのうのうとしてるなんて、まったく父って、なにをしても無責任なんですもの。いやんなっちゃう。こうとしったら、今度こそはっきりしますわ。」

「一家離散?」

「ええ、だって、ひどいんですもの。」

「でもねえ二三子さん、あんたほんとに、おとうさんだけに原因があると思う?」