轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

いやだという音枝をおがみたおして夏樹とふたりで神妙に待っていると、ご不浄に立った安江が茶の間をのぞいた。

「あ、いらっしゃい。どうしました顔。」

「いや、ころんでね。なに大したこたあありませんよ。大したこたあね。」

「そう。じゃあわたし、きょうは失礼します。」

あっさりひっこんでくれてほっとした。彼は小声で夏樹にいったのである。

「おかあちゃんに、だまってておくれよな。すぐかえすからな。夏樹ちゃんにいいものお礼にもってくるからな。」

「大丈夫だよ。いってもおこらないよ。」

しかしもどってきた音枝は一そうおこっていた。八千円を夏樹にわたすと、ぷいと台所に立ってもどってこない。その大金をみると、さすがの夏樹も少々こわくなったらしく、しばらく見つめていた。それをやっと促してうけると、早々にいとまをつげた兵六さんだった。

「いいんだもん、ぼくの貯金だもん。」

おこってものいわぬ音枝にもつれつきながら、夏樹はしきりにいいわけがましく、我をはっていた。そんなことは分らぬ兵六さんだが、しかし彼とてもやっぱり釈然としない。

そこで、駅の階段を上る今日の彼の足は、怪我自体よりももっと重いのである。