轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

しかし部屋にはいって、話しかける自分の目をはずさず、かっきりとあわしてくる冬太郎のひとみをみると、一つのおもしは次第に軽くなるのを覚えた。そのことはまた浜子の上にも及んで、彼女の気持はいつか、少しずつなごんでいた。

残っているのは文吉ひとりである。

「おかあさん、みてごらんよ。いい月だよ。」

すだれをはずしていた冬太郎は安江をふりかえり、

「散歩しないかな。月夜の散歩、素敵じゃない、おかあさん。」

ああ、わたしの気の重さを、この子は察している――と安江は涙ぐみそうになるのをこらえながら、

「散歩か。悪くないがね――」

しかし浜子のことを思えば散歩どころではない。といって、冬太郎の前にはっきりさらけ出すようなことはしないで浜子の問題は解決しようと考えている安江に、冬太郎はふたたび、

「ね、散歩しよう。バッケの原、いいぞ。帰りにすすきでも折ってこようよ。ただだ。」

安江はふっと心が動き、

「いこうか。じゃあちょっとゆかた着かえよう。お月さまに失礼だからね。」

立ちあがると、じゃあぼくもと冬太郎は二階へかけあがる。そのまに安江は音枝のそばへゆき、こしょこしょとささやいた。