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ざつぶんひとたば
雑文一束
平林 初之輔
「探偵趣味 第二年第四号」1926(大正15)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,337 字 · 3 页
のだ。私などは人間の中では相当ラジカルな機械論者であるが、それでも、時によると、人間は死ぬ刹那に意識が、それと同時に生まれる他の生物の頭の中へ飛びうつるのではなかろうか、という考えを抱く。輪廻転生説がどこの原始民族にも信じられたのは、理由のあることだ。
犯罪は必ず発覚するとか探偵はいくたび過誤をおかしてもよいが犯人のただ一つのミステークはフェータル〔致命的な〕だとかいうことを刑法学者や警察当局などがよくいうが、そんな馬鹿なことはないと私は思う。犯人がどれだけミステークをやり、警官の前に証拠をばらまいておいたって、探偵のたった一つのミステークで「迷宮」に入る場合だってあるに相違ない。前の言は、警察の刑事政策上からきた宣伝と警察の自惚れと、刑事学者の驚くべき学問過信とからきたもののようである。
病気の話をきくと、すぐに自分がその病気になりそうな気がする。胃癌とか、中風とかいう病気のことをきくと、もう免れっこはないように思う。火事のある時分には――一年中東京には火事があるから一年中、したがって一生そうであるわけだが――外出していると急に火事が心配になることがある。